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ある意味、巨星墜つ。

ベッドの傍らにあった義足の大きさに衝撃を受けた。両下肢のない姿で胡座をかいた、髭面の男と挨拶を交わした。その声は風貌とは裏腹に優しい声だった。

あの日から、目も不自由な彼との付き合いが始まった。個性的なライフスタイルでこだわりの強い性格だった彼には手を焼いたが、努力家で自立心の強さにはリスペクトし、憎めない何とも言えない愛嬌で愛されてもいた。

年の割に花鳥風月や季節の移り変わりには敏感で、暴飲暴食偏食で愛煙家だった彼も、晩年は食事や飲水の制限も守り、煙草もやめた。


しかし、残念ながら間に合わなかった。

油山の裾野に流れる煙突からの煙が、彼が咥える紫煙に見えた。合掌。

フィクション byボス